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シチリア州 カルタニセッタ・内陸山岳部 (ジッファッローネ)
* アバーテ社
Tenuta dell’Abate
Ass. Agr. l'Abate di Luigi Romano s.s.
via Kennedy, 46 - 93100 Caltanissetta
アバーテはシチリア島の中腹部、カルタニセッタの町から数キロ離れたコントラーダ・ジッファッローネに、地形や地質の異なる2つのぶどう畑を所有します。
テヌータ・リッサンドレッロは起伏の激しい丘陵地。木々も残る開けた谷間で、傾斜地をうまく活用したブドウ畑。テヌータ・ジッファッローネはアンフィテアートロ(円形劇場)を思わせるすり鉢状の地形になっており、なだらかな丘が連なった開けた土地。自然の過酷な一面ともいえる、シチリア特有のむき出しの岩肌と小麦すら育つかも分からない砂地。そんな中、ブドウの葉で緑に覆われたこの二つの丘が広がる様子は余りに美しく、シチリアの山岳部ならではのコントラストを楽しめます。
現オーナーはルイジ・ロマーノ。彼の祖父がこの地を所有したのは1998年とまだ日が浅いが、数年にわたりぶどう畑に適した標高、土質を研究、探索し、日当たりのよい斜面を最大限に利用しインツォーリア、グレカニコ、ネーロ・ダーヴォラなどの地場品種と、この地での可能性が見込めるカベルネ・ソーヴィニョン、シラー、ヴィオニエなどを順に柵付けしていった。彼らの作る農作物は全てにおいて、化学的な物質の使用を排し、自然な環境の中で行われます。これらは品質の向上を可能にすると同時に、味わいや香り、作物そのものを純粋なものとさせました。畑は合わせると62haもの広さになります。
カンティーナでは最新の設備を用います。白ワインの生産が多いアバーテでは発酵や、熟成に用いる大型のステンレス 槽が多く、生産量も多いためカンティーナには容器が所狭しと並べられています。ステンレス製の容器の形状は大小問わず、円筒というセオリーの中、近年では四角張ったステンレス槽が開発されたため、試験的に購入しました。円筒状では槽と槽の間にスペースのロスが出てしまうので、四角張ったものの方が狭いカンティーナを有効に活用できる。使用感はというと、ワインの状態もよく、彼らの経験上より良い成果が生まれているとのこと。
発酵中、浮いてきた果帽を液面化に押し下げるフォッラトゥーラという作業はあえて機械で行わず、人の手で行います。発酵など自然の摂理によって行われる活動にとっては、機械やコンピュータが行う状況に合わせた最適の作業をするのは難しく、大変でも人の手(目)によって、その状況を判断しながら行う。最新の技術とできる限りの人の歩み寄り。良いものを探求する姿勢。綺麗な味わいの中に親近感を覚えるアバーテのワインの理由はここにあるのかもしれません。
アバーテでは旗頭となる赤ワイン・ジッファッロと20%と僅かなパーセンテージで使用するシャルドネ以外、木樽での熟成を行いません。食事と共に消費されるワインを理念とするためです。
私たちイル・トラミテの目指すマーケットもレストランを友とするもので、食事と共に調和を見出すもの。品種だけではなく、地域によっても様々な個性を見せるシチリアワインですが、内陸部のワインを探しました。理由は明らかで、山岳部の海抜の高い地域で育まれる引き締まった酸味を欲したためです。照りつける大地で育まれたトロピカルな特有なニュアンスにこの酸味が加わることで、シチリアのワインはさらに一歩、上に進む気がします。
前出のルイジは一見すると強面ですが、尋ねるとゆっくりと丁寧に、じっくりと説明を繰り返してくれます。素敵な人柄の持ち主です。
「日本用のラベルにはBiologicoって入れた方がいい?」と尋ねてくるオーナー・ルイジ。もともと硫黄の採掘場だったというこの地では、畑で使用する僅かな硫黄すら自前で揃えられるようです。